ELECTROCUTICA

ARTICUTION-PROFILE 01

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東篠 航一郎

Kouichirou Higashino / ひがしの こういちろう

本作の主人公。14年前の不可解な事件ーーその真相を世に暴いたトリックスター

27歳 179cm/60kg/BFP7%
日本人3/4の混血、現国籍は不明
キグナス株式会社(CYGNUS S.A.) 舞台芸術事業部・奇術課所属
近年は各国の政府要人やVIPを顧客に奇術を披露する職務に就く


真実で在れるなら、たとえ行く先が闇でも構わない

類い希なる叡智と才覚で「負け知らず」な人生を送ってきた青年。日々を退屈に感じていた彼は、周囲の難題を見つけては解決に明け暮れていた。それが人助けに繋がることも多く、ゆえに人望も厚かったが、どんな難問に触れてもどこか満たされなかった。しかし20歳で自身の出生の秘密に触れ、実母・渡瀬渚の存在を知ったことが大きな転機となる。
政治家であった彼女の不可解な逮捕、そして怪死……それは彼が初めて出会う、本当の難問だった。航一郎は、心の空白のピースを埋めるようにその謎解きに溺れていく。

事件の真相を探るため、世界で暗躍する老舗芸術企業・キグナス株式会社の社員となり、その舞台芸術事業部C+C(通称シルク・ド・コルセール/Cirque du Corsair ※後述)の奇術セクションに所属。各国要人との接待交流も多いその組織の中で、奇術の腕を駆使して数多の情報を盗み、母を冤罪に陥れた真犯人達を突き止めた。しかし事件は国が巧妙に隠蔽しており、真相を世に示すには彼らを殺めるしか手段は残されていなかった。

数奇な運命が、ひとりの天才を殺人鬼へと変えていく……

航一郎は迷うことなく制裁を執行、その代償として自らの命を差し出した。真犯人7人が一堂に会する夜、その日が彼の最期の舞台となった。犯行は奇術トリック「マジシャンズセレクト」を用いた毒殺。不特定多数の客人が集う中、標的だけを正確に仕留めきった。自らの手を汚すことすら恐れず「真実」を白日の下に晒したその完全犯罪は、誤った司法の意義を世に問う、さながら芸術品のようであった。


孤高の青年、辿り着いた先

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育ての親は著名な演奏家であり、音楽家に囲まれて育つ。親の影響で、幼少期から音楽・学術ともに厳しい教育を受け、各国を転々と暮らしていた。そんな生育環境から、語学堪能でヘキサリンガル(英、仏、中、日、独、伊)、成績は常に首席だった。

航一郎は基本的に穏やかな性格であまり感情を表に出さないが、静謐なる好戦家である。悪事や無駄な争いには加担しないものの、人助けに関わる勝負は好んでいた。いざ敵対する局面においては饒舌になり、時折冷徹な表情も見せる。人心掌握に長け交渉や賭事に強く、14歳頃からその能力を使って幾らかの収入を得ていた。しかしその大半が養親の負担軽減を目的としたものである。そんな彼を慕う人間は多かったが、高い知性と感受性ゆえか、自ら孤立する傾向にあった。

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高校卒業後はパリ国立高等音楽院・指揮科に在籍、その頃実母に纏わる闇を知る。その究明のためキグナスに入社。C+Cの奇術師となる。初めて触れる奇術の世界は厳しいものだったが、持前の才智で短期のうちに技を会得する。舞台ではその経歴を生かし、伝統的マジックとは異なる、音楽とイリュージョンを統合した斬新な奇術で脚光を浴びた。

舞台人としての毎日は予想以上に多くの難問に囲まれ、航一郎にとって非常に刺激的だった。世界の精鋭たちと過ごした数年間は、心の空白を埋めていくようで、これ以上ない幸せを感じていたようだ。

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その後は大舞台を退き、各国の要人相手のプライベートマジシャンとしての職務をメインとする。実母に繋がりのあった人物と接点を持ち、密かに集めた14年前の断片。浮かび上がる母の遺志、幼少の記憶……彼女に纏わる闇は思い描いていたよりもずっと壮絶なものだった。彼女はどんな思いで世を去ったのか。自分がこの事実にもっと早く気づいていたなら。新たな事実に辿り着く度に、自責の念が募っていった。


蠱惑の指先、導かれる糸

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どこか寂しさを埋めるように、難題解決に没頭していた航一郎。つい迷える子羊を救ってしまう癖があり、助けた相手から好意を寄せられることも少なくなかった。元女優でもある実母に似て眉目秀麗ということもあり、男女問わずアプローチされることが常だったが、寂しさに駆られて不実な関係に流されることは避けていた。

航一郎はその生い立ち故か、恋愛に関して不器用な一面を見せる。基本的に誰かを信用するのが苦手で、自分に近づく女性を敬遠し、進んで恋愛感情を抱かないよう一線を引いていた。少年期に深い絆を結んだ相手に裏切られた経験から、繰り返し傷つくことを怖れているのだろうか。

そんな中で唯一、心身を通わせた人物が過去にいたようだ。今も右手の薬指には、彼女との離別の際に交わした約束の指輪がある。

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C+C奇術課には”標的に近づき情報を盗む”という第二の職務があり(※後述)、奇術課の男性は女性の快楽を熟知し女心を翻弄するプロフェッショナルである。
航一郎も例外ではなくそうした職務に当たるが、プライベートな恋愛とは違い、別の人格を造り異性と疑似恋愛する行為は、彼にとって気が楽だった。深入りして傷つくこともなく、演じきれば相手を苦しめることもない。常に相手の心を傷めないよう完璧に騙し切るといった配慮のもと、数々の仕事をこなしていた。けれど優しい嘘は、いつしか癖となり無意識に染みついていった。

頑なに本心を明かさない航一郎だが、その優しさ寂しさを抱え込む繊細な心が一連の行動となって現れる。それは複雑に絡み合い縺れ、計らずして母を陥れた真犯人像を浮かび上がらせた。

歯車は、C+CのVIPパーティーで、謎めいた少女”渋澤ひばり”と出会ったことから狂い出す。いつものように振る舞い、心に闇を宿す彼女を救う航一郎。傷を抱えたふたりは無意識に、けれど確実に距離を縮めあっていく。
その関係が、彼の運命を大きく変えることになるとも知らずに……


最期の舞台と唯一のミス

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制裁を終え、航一郎は自ら命を絶った。

“ARTICUTION(藝術處刑)”
14年前、闇に葬られた事件の真相を世に示す完全犯罪ーー
それが奇術師としての最期の作品となったのだ。

しかし「僕はあの夜、ひとつだけミスを犯したらしい……」との独白の通り、神の悪戯は彼の死を許さなかった。皮肉にも、死刑や無期懲役といった”軽罰”ではなく「生きる」という“重罰”を与えられた彼。けれどその表情はどこか嬉しそうでもあった。
事件後、警察は殺人犯である航一郎を逮捕できなかった。メディアでは報道規制により淡々と”犯人死亡”が伝えられる一方、ネット等の水面下では事実憶測入り乱れ、復讐美談・完全犯罪として語られていた。航一郎は犯行直前に辞職していた為、C+Cも事件に触れることなく営業を継続、情報もなく、完全に行方を眩ませる。

いったい、彼はどこに消えたのだろう……


Link

「ARTICUTION/奇術師の告白」MV 登場人物一覧


東篠航一郎 / Kouichirou Higashino


渡瀬渚/Nagisa Watase


白石征紀/Masanori Shiraishi


渋澤ひばり/Hibari Shibusawa

WebC+C / CYGNUS S.A.


About

このページでは、「ARTICUTION/奇術師の告白」MV制作にあたり、歌詞の内容を掘り下げて構成した物語・設定資料を掲載しております。

本作は、作者の実体験と、私が幼少期に出会った数々の作品へのオマージュを掛け合わせた作品です。元々はMV制作のための内部資料として書いたものですが、視聴者の皆様とも共有できればと考え、公開をしております。楽曲・MV映像と併せて楽しんでいただければ幸いです。

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テーマの著者 Anders Norén